


久郷:私は以前、「フタバチェコ」の営業を日本で担当しており、その時にプジョー・シトロエン様向けの業務をしていたので、その経験を活かせると思い、今回のプロジェクトに自ら手を挙げて参加しました。
営業活動自体は、常州フタバに駐在している山岸さんが中心となって動き、私はお客様からの英語や仏語の見積依頼書や技術要件を解読し、社内の各部署に検討を依頼したり、中国の東莞フタバへ展開したり、サポート的な役割を主にしていました。
山岸:東莞フタバは基本的に生産工場なので、私を含め常州フタバの営業部の人間が主体となって営業活動を進めてきました。お客様に対して、実際にプレゼンテーションも担当しました。どのような角度でアプローチしたらよいか戦略を練るため、中国の市場ではどんなことが求められるのか、どのぐらいの価格であれば勝負できるのか、情報収集をするところからのスタートでした。
中国での欧州系企業の仕事はこれまでに経験がないので、言語の違いだけでなく、仕事の進め方にも大変苦労しましたね。
和田:私は実際の生産工場の代表として、お客様との窓口になり、打合せや交渉を担当しました。中国では人と人とのつながりが大切なので、お客様とより良い関係を構築するため、人脈作りに力を入れて活動しました。

久郷:まずは規格の違いの問題がありました。欧州ではスタンダードな「TS16949」という自動車業界の品質マネジメントシステム。この規格は日本ではあまり浸透していません。ですからフタバ産業も、通常はこの規格に則った品質保証体制を敷いていなかったため、社内の人にいろいろと説明し、理解してもらい、対応をお願いしなければならないことがありました。
和田:現地で動いている人間としては、スピード感の大切さをあらためて感じました。特に見積や技術要件に関する部分は日本で判断していたので、その分、どうしても時間的なロスが生じてしまいます。お客様からのデータや見積依頼書に不明点などがあった場合には、日本からの指摘をお客様に確認して、また再度日本へフィードバッグするという、歯がゆいやりとりがありました。お客様からの依頼書をそのまま日本へ投げるのではなく、ある程度現地で判断できるように、東莞フタバに勤める現地人スタッフの教育も同時に必要でした。

久郷:まだ、量産が始まったわけではないので、正直受注した実感がまだ全然ないんです。ただ、お客様からは「品質でフタバさんを選んだ」と言ってもらったので、その期待にはきちんと応えなければいけないと思っています。製品が量産化されるまでは気が抜けないですね。
山岸:フタバ産業がこれまでに培ってきた実績も大きかったと思います。トップクラスの自動車部品メーカーとして認知されていたので、最初の段階から当社の提案を好意的に受け取って頂けました。あとは、東莞フタバに勤める現地社員の協力も非常に大きかったです。生産工場である東莞フタバの人たちが、営業活動も手伝ってくれて、進捗状況の報告から、品質レベル、製造工程についてなど、お客様と直接やりとりしてくれたので大変助かりました。日本、東莞、常州、みんなが一つになって協力し合えたからこそ、受注できたと思います。

久郷:今回受注できたのは、ボディ関係の部品でしたが、当社の得意とする排気管やサスペンションなど、設計・評価から製造まで一貫して責任を持つ「機能部品」も今後受注していきたいです。機能部品は自動車の性能を左右する部分なので、なかなか新規参入が難しいのが実情ですが、今回のプロジェクトを足掛かりに、既存の枠組みを突き破って勝負していきたいです。
山岸:プロジェクトを経験して感じたのは、中国にはまだまだチャンスがたくさんあるということ。今回の欧州自動車メーカーへの対応が、現地の東莞フタバで血肉となってくれれば、他の欧州メーカーさんにもどんどんアプローチできるようになります。そのためには、"物の現地化"だけでなく、"人の現地化"が欠かせないので、現地人の育成にも力を入れていく必要があると思います。
和田:企業そのものを継続、発展させるために、フタバグループにおいて中長期計画「VISION2020」を目標として掲げ活動しています。その目標達成には、部品、金型の現地調達化、対応人員の現地化は当然のことながら、決定権の現地化も必要となります。東莞フタバがある華南地区には、フタバが取引できていない自動車メーカーがまだまだ沢山あります。今回の経験を生かし、日本、常州そして生産工場が一体となり、今回の取引先の方々から頂いた「フタバさんのご協力を感謝しております」のお言葉を、既存のお客様だけでなく、新規のお客様からも頂けるよう、フタバブランドを中国で拡販していきたいです。